遠藤周作『沈黙』新潮文庫、平成29年1月30日63刷

■あらすじ

日本で布教をしていたフェレイラ教父が拷問を受けて棄教したという知らせがローマ教会に入る。教父を信頼し、慕っていただけに若い司祭たちはその事実を受け入れられない。日本に残されている信徒を救おうと、ロドリゴ司祭とガルぺ司祭がキリシタン禁制下の日本に潜りこむ。

上陸してすぐに、ロドリゴたちは信徒のいる農村を発見して身を隠していたものの、ある信徒の裏切りで役人にばれてしてまう。信徒のために来日したにもかかわらず、司祭たちの目の前で次々に信徒が拷問を受けて死んでいく。それでも神は沈黙をし続け、何もしない。

穴吊りの拷問前夜、遠くから聞こえてくる鼾にいら立ち、通辞を呼び出したロドリゴ。その声が、穴吊りされている信徒たちの呻き声だと教えられ・・・・。

日本と西洋の宗教思想の違い、神の存在、背教する心理について、丁寧に描写された小説です。