江戸と火事

これまたテレビを見ていると面白い番組が放送されていた。

昔の日本の家は木と紙でできていたため、一度火が点くとなかなか消えない。火がつくと、あっという間に燃え広がり、逃げ遅れて焼け死ぬ人が後を絶たなかったという。特に、江戸時代は人と家が江戸に密集したため、火が簡単に燃え広がったらしい。

そのため、当時消防組織が作られた。その消火活動の考えが、とても斬新だ。当時水を運ぶホースなどあるはずもないので、火を消すことはしなかった。代わりに、建物自体を壊して、燃え広がらないようにしたそうだ。

建物を壊すといっても、もたもたしていると火を止められない。そこで何をしたかというと、「火事になる前提」で家が壊しやすいように簡易に造られていたという。また、家にはすぐに逃げられるように、必要最低限の家財しか置かなかった。これがいわゆる江戸っ子の気質に繋がったらしい。とても興味深い。

震災から8年。東北では倒産する会社が多数。

たまたまつけたテレビを見ると、倒産をさせないために奔走している旅館の女将と、水産工場の社長について放送されていた。震災直後は、補助金を利用して再建したものの、その後の経営が芳しくなく、かつ補助金の返済期限が迫っているといった内容だった。

旅館に関しては、震災特需で、震災後数年はボランティアや工事の人でにぎわっていたらしい。その時に東京のコンサルタントのアドバイスで増築までしてしまったという。そのつけが今借金として重くのしかかっているとのことだった。また、今でも震災の話を聞きに、ツアー客が旅館にやってくるらしいが、ひどいことにみんな無償で女将に語り部をさせた後、旅館に泊まりもせずに去っていくらしい。見ていて悲しくなった。

更にひどかったのは、震災後に建設された防波堤だ。沿岸をコンクリートで固めてしまったせいで、夏になると海水浴をしに来る観光客でにぎわっていた景色が見られなくなった。失われた観光資源の影響は大きい。今では、海水浴をしに来る宿泊客は0だ。たしかに、津波の脅威を考えれば、防波堤を作りたい気持ちはわかるが、コンクリートで塗り固められた町が徐々に衰退していく姿まで、想定していなかったのではないだろうか?

沿岸地域の中小企業の大半が、倒産に追い込まれている今。暗い未来しか見えてこない。