非正規は交渉より困窮相談

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 このようなタイトルの新聞記事が出ていた。賃上げ要求をする春闘などに、非正規社員が含まれていないため、労働組合の存在意義が問われている。現状、非正規社員の人たちの多くは、労働組合に加入していない。

不当解雇の違法性を問うには

ブラック企業のキャラクター

 今回は、会社からパワハラに近い扱いを受け、その後配転命令を出されて懲戒解雇されたケースについて考えたい。

 結論から言うと、不当解雇として訴えても、労働者側が勝てるケースは少ないようだ。日本には、職種や勤務場所を固定せずにその時々で人事異動を繰り返す独特の雇用慣行がある。そのため、配転命令を出す会社側の裁量がかなり大きく、その無効を主張するには下記の点に該当する必要がある。

①業務上の必要性
②退職に追い込むなどの不当な目的・動機に基づく
③労働者に著しい不利益をもたらす

 また、配転命令を受けて実際に出社し、仕事が用意されていなかったとしても、少なくとも1週間程度は出社し続けて様子を見たほうが良いようだ(労働者側としてはかなり精神的にきついだろうが)。仕事が1日だけ与えられていなかったからと言って翌日から出社せずにいると、労働者側に不利になることが多く、裁判官に与える心象も良くないからだ。

 コロナ禍において、人員整理が行われているが、その中には上記のように不当解雇されているものの、泣き寝入りをしている人も多いのではないだろうか。

社会保険に加入させない派遣会社

 知り合いが前職を退職した後派遣会社に登録し、働くことになったのだが、会社が社会保険(年金、健康保険)の手続きをするまでの空白期間はどうすればよいのかと質問が来た。そもそも会社には労働者の入社日初日(試用期間も含め)から社会保険に加入する義務があることを伝えると、派遣元からこのような返信が返ってきたと教えてくれた。そこには、最初の2か月間を有期契約にしているため、社会保険への加入義務が生じないと書かれていた。ここで疑問が生じた。なぜ、最初の2か月間が有期契約なのかと。

 推察するに、社会保険は労使折半になる。そのため、少しでもコストを下げたい派遣会社は意図的に最初の2か月間を有期契約にしているのだろう。健康保険法第3条で「臨時に使用されるもので、2か月以内の期間を定めて使用される者」は被保険者とならない旨が記載されている。よって、2か月間の有期契約の場合、社会保険への加入義務は生じないが、そもそもこの規定は「継続雇用を前提としていない」労働者に対して適用されるものである。違法とは言えないものの、さも当然かのように最初の2か月間は有期契約だと伝え、労働者側からすればそれを受け入れざるを得ない状況にしている点で悪質だと言える。