今回は、会社からパワハラに近い扱いを受け、その後配転命令を出されて懲戒解雇されたケースについて考えたい。
結論から言うと、不当解雇として訴えても、労働者側が勝てるケースは少ないようだ。日本には、職種や勤務場所を固定せずにその時々で人事異動を繰り返す独特の雇用慣行がある。そのため、配転命令を出す会社側の裁量がかなり大きく、その無効を主張するには下記の点に該当する必要がある。
①業務上の必要性
②退職に追い込むなどの不当な目的・動機に基づく
③労働者に著しい不利益をもたらす
また、配転命令を受けて実際に出社し、仕事が用意されていなかったとしても、少なくとも1週間程度は出社し続けて様子を見たほうが良いようだ(労働者側としてはかなり精神的にきついだろうが)。仕事が1日だけ与えられていなかったからと言って翌日から出社せずにいると、労働者側に不利になることが多く、裁判官に与える心象も良くないからだ。
コロナ禍において、人員整理が行われているが、その中には上記のように不当解雇されているものの、泣き寝入りをしている人も多いのではないだろうか。