裁判外紛争解決手続き(ADR)がコンビニで導入

東京新聞2020年11月29日p3

 来年4月からコンビニ業界においてADRが導入されることになったらしい。本部による加盟店への24時間営業や仕入れの強制などが問題になり、公正取引委員会や経済産業省の有識者検討会による改善策の提示要求が背景にある。

■ADRとは?
 ADRとは、Alternative Dispute Resolutionの略で、裁判外紛争解決手続きと呼ばれる。裁判による審議には、お金も時間もかかる。しかし、ADRの場合、費用が無料でかつ手続きが迅速であり、関係者以外にその内容は非公開となる。そのため、近年紛争解決ニーズに的確に対応するための手段として注目されている。

■近年は労働者個々人と企業間の紛争が増加
 労働紛争というと、かつては賃上げや一時金要求などの交渉が中心で、1980年代以降は長期雇用システムを前提とした労働組合と企業による紛争が主流だった。それが、1990年代以降は雇用情勢の悪化・非正規雇用の増加を背景に、いじめ・嫌がらせや賃金不払い、解雇といった契約上の取り決めや法違反に関する「権利をめぐる紛争」、つまり労働者個々人と企業との間の労働関係おいて生じる紛争が増えている。(厚生労働省 平成27年11月26日 第2回透明かつ公正な労働紛争解決システム等の在り方に関する検討会 配布資料p2参照 https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11201000-Roudoukijunkyoku-Soumuka/0000105384.pdf)。

 今回のように、業界単位でADRが導入されることは喜ばしいことだ。他の業界においてもぜひ導入が進んでほしい。労働者個々人と企業との間での紛争が増えている今、ADRがもっと身近な紛争解決手段として活用されるように、周知・情報提供していくことが今後必要だろう。なお、ADRで解決できなかった場合は、労働審判(裁判よりも簡易な手続き)で解決を図れる。労働審判でも解決できなければ民事訴訟へ移行することになる。

厚生労働省 平成27年11月26日 第2回透明かつ公正な労働紛争解決システム等の在り方に関する検討会 配布資料p2


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